ペットロスとダンス

こんにちは。

去る3月5日、8年連れ添ったペットのチンチラが旅立ちました。

 

正直まだ茫然自失から抜けきれてはいないのですが、いつまでも立ち止まっているとチンチラにも心配かけそうなので 自分自身に発破をかけるべく今回のことを書き留めておこうと思います。前に進むぞ!

 

※敢えてライトな表現を心掛けておりますことをご了承ください。

 

 

在りし日のチンチラ

 

まず前提として、自称するのもなんですが飼い主である私は普段とても陽気です。

「ほがらかサイコ」という二つ名を付けていただいたこともあるほどです。

 

しかしながら私が陽気になれたのは、間違いなくペットのおかげでした。

話が逸れますので詳細は省きますけれども、8年前の私は身内の死や刑事事件への巻き込まれなどが立て続けに起きて 超絶病んでおりました。

一番ヤバかったときは時折死の輪郭が見えていたくらいです。

 

とにかく癒しが欲しくて、藁にも縋る思いでふらっと立ち寄ったペットショップに彼はいました。

軽く予算オーバーでしたがそんなことはどうでもよくなるほど惹かれ、先数か月のモヤシ飯と引き換えに癒しの生活を手に入れたのです。

 

どれだけ外で疲れても、苦い思いをしてきても、家には常に彼がいました。

いうてそんなにスキンシップの激しい関係ではありませんでしたが、手ずからご飯を食べてくれたり 満更でもなさそうに撫でられてくれたりする存在に少しずつ心が明るくなるのを感じていました。

一人暮らしだったのもあり、気持ちの落ちた日にも「私が折れたらチンチラの暮らしがヤバなる!それはいかん」と奮い立たせてもらったものです。

 

アンガーマネジメントの悲しみバージョンというのか、とにかく後ろ向きな感情をどう受け止めて昇華するか、私は彼に教えてもらったと大袈裟じゃなく本気で思っています。

 

私が家で落ち込んでいるとチンチラも遠慮がちに様子を窺って大人しくしているので、いつしか私は元気がないときほど部屋で踊るようになりました。

いや別に全然上手くないんですけども、私がヘンテコダンスをしているとチンチラも派手に回し車で伴走してくれたので、とにかく楽しい動きを心掛けました。

時折こぼしてしまっていた愚痴もスタンダップコメディ調に変えて話すようになり、どれだけ嫌なことがあってもその出来事から「おもしろいところ」を見出そうと意識し始めたことでだんだん愚痴そのものを言わなくなりました。

 

私の普段の振る舞いがそうやって徐々に前向きになると、関わる人々もポジティブで活動的な方が増えました。

ありがたいことに、私自身を「明るい人」「楽しい人」と見做してくれる方も増えました。

あのとき彼と暮らすことを選ばなければ、こんな今はなかったでしょう。

 

そんな中、昨年末からチンチラは体調を崩しがちになりました。

よだれが出たり、食欲を失ったり、鼻水が続いたり……そのたびに病院へ連れて行きましたがはっきりとした原因はわかりませんでした(病院の方はたいへんよくして下さいました)。

 

私がズボラなせいも大いにあり、至らない点も多々あったことと思います。

 

少しの回復と不調を繰り返し、最後に病院へ連れて行ったのは2月末。

その数日後、彼は全く食事を摂らなくなりました。

 

私が帰宅する時間、彼はケージの一番玄関に近いところでいつも立っているのですが、その日はその場所でうつ伏せに倒れ込んでいました。

慌てて抱き上げると、珍しく抵抗しませんでした(今までは割とじたばたしていました)。

 

一旦ケージから出してみたところ、少しばかり歩いてみせたのですが後ろ脚が思うように動かせなくなっていたようで、すぐに抱え上げてその後は3時間ほどずっとあやしていました。

 

近隣で夜間診察を受け付けてくださる病院にエスニックアニマルを扱ってらっしゃるところが見つからず、どうにか朝まで保ってくれればと願いながら撫でたり宥めすかしたりしていました。

けれど、私がここで涙しては彼自身が不安になると思い頑なに明るく努めました(迷惑だったかもしれません、ごめん~~~)。

 

チンチラも私の声掛けに小さな鳴き声で応え続けてくれ、今までにないくらい甘えてくれました。もうだいぶ泣きそうでしたが超絶下唇を噛んで耐えました。

彼の動きはだんだんと鈍くなり、私も口数を減らして静かな時間が訪れました。

最期に何度かしゃっくりをしたあと、彼は「きゅう」と鳴いて逝きました。

 

彼の身体から力が抜けた瞬間、私は涙するより先に心臓のあたりが無茶苦茶な鈍痛に襲われて声も出なくなりました。

立て続けになぜか勢いよく鼻血が出ました。マジでなんでだよ。血圧上がってたのかもしれません。

 

朝までとても永く感じました。

でも明けてみたら、ティッシュ一箱分の水が顔中の穴から放出されて目が「3」になっていました。

ドラえもん』ののび太くんは毎晩大号泣している可能性が浮かびましたがそれはまた別の機会に検討するとして、よっぽど有休を取るべきか悩みつつ結局普段通り出社しました。

会社の皆さんには訳を話し、花粉症の最終形態のような佇まいで一日仕事しました。

私はラジオ局で毎日生放送を担当しているのですが、あまりに鼻声だったので番組冒頭で簡単に理由を話して進行はいつも通りやりました。なんでこの日に限って大喜利のコーナーがあったんだ。いいけど。

いろんな人が励ましてくれました。私は顔中大洪水のまま休憩室で踊っていました(異様な光景なのに周りは見慣れているので「あーね」みたいな感じでした。それが一番怖い)。

 

その夜、チンチラの生前よく遊んでくれた友だちに訃報を伝えると「うちで夕飯食べないか」と気遣ってくれ、お言葉に甘えることにしました。一人で家にいると永久にティッシュをガビガビにし続けそうだったからです。

 

友だちの家では過去も今も多くのペットを飼っていて、ご一家で私の話を聴いてくれ、そして皆さんのペットロス体験も聴かせていただきました。

そうしているうち次第に、大荒れの情緒が穏やかになっていくのを感じました。

 

この夜改めてチンチラの遺体にしっかりお礼を伝え、初めて死を事実として受け入れられた気がします。

ティッシュ側がストライキを起こしそうなほどの涙や鼻水は鳴りを潜めました。

 

相変わらず夜は静かで長く感じます。

この記事を書いている今もじわじわと視界は滲み続けています。

後悔することは多々あり、この先も尽きることはないでしょう。

けれども私がいつまでも引き摺っては、彼を心配させ続けてしまいます。

この記事をもって、一つの区切りと決めました。

 

この悲しみも含めて、私一人ではとても得られなかった想いをたくさん教えていただきました。

本当にありがとう。少しずつ今日からまた明るく楽しい人を目指して頑張ります。

そしていつか、チンチラ異世界転生ギャグマンガとか描けたらいいなと思います。

 

顔中のバルブが壊れたまま描いた絵です

 

お読みいただきありがとうございました!